やちの不思議な体験
怖い話が苦手な方は読まないでくださいね。

僕がまだ学生だった頃、3人で一軒家を借りていた友達が居ました。

ある日、3人とも引っ越して家を空け渡す事を聞き、僕は手伝いに行ったんです。
ほかにも何人か手伝いに来ていた友達がいて、そのおかげで作業は着々と進み、最後に予定していた友達の荷物も軽トラックに乗せ終わりました。

軽トラとは別に何台か車があったのですが、全員は乗りきれないため待機組として二人は家に残ることになりました。
待機組になったのは、僕ともう一人。彼もまた手伝いに来た友達の一人でした。

二階の溜まり部屋でおしゃべりしていたんですが、それも次第に飽きてしまいました。
ゲームどころかテレビもなく、だだっ広い部屋にあるのは掃除機だけです。
彼はおもむろに、その部屋に掃除機を掛け始めました。
僕は隙を伺って、その部屋の押し入れに潜り込み、彼にメールを送りました。

『ボクヲサガシテ』(当時はカタカナでしかメールは送れなかった)

彼は、まさか自分が居た部屋に隠れたとは思わず一階へ下り、台所や風呂場で僕を探し始めました。
これは僕の思惑通りでした。

なかなか見つけきれない友達は僕の名前を呼びました。
もちろん、僕は息を潜めて友達が呼びかけているのをじっと聞いていました。

しかし友達は二階に駆け上がり、いきなり僕がいる押入れを開けたんです。
「あれ!?何で分かった?」って友達に聞くと、
「だって返事したじゃん。はぁーいって、ここから聞こえたよ。」という答えが。
もちろん、僕は返事なんてしていません。

それからしばらく経つと搬送組が戻って来たので、ここに住んでいた友達にこの事を話しました。
そうしたら、その友達がこの家で子供の霊に何度か遭遇していたという話を語り始めました。

台所で調理していたら、真後ろで子供が走り去る音がしたりとか。
洗濯物を干そうとベランダのカーテンを開けたら、目の前に子供が立っていたりとか。
(そのときは、とっさにカーテンを閉めたそうです。再度ゆっくりカーテンを開けたら誰も居なかったんだとか)

あのとき、僕が潜んでいた押入れに、もう一人誰が潜んでいたのかと思うと・・・。